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2008.04.26 Saturday

明日はサイン会

作品展がはじまってから急に寒さが戻って来たような不安定なお天気。私はいつも不思議なくらい心の中とお天気がリンクしてしまいます。
私の心は今、少し寒がっているのかもしれません。…ずっと走ってきました。作品展があるとかないとかにか関わらず、走り続けて来た人生です。
やっと作品展の幕が開き、心は鎮静を求めています。それとは別に色々と現実的なことも押し寄せて来て、丁度今クレパスに落ちているような時間です。
会場に行けないこともその理由かもしれません。
…そう、それが一番の原因かも。会いたいのに会えないようなもどかしさが心に影を落とします。

作品を運びだしたアトリエは、がらんとしていて主のいない空き家のようです。ここ数ヶ月、足の踏み場もないような状態だったけど、どこに目をやっても描きかけの作品に呼ばれているような日々。
「みんな行ってしまった…」昔好きだったジャズの一行が心の中をリフレインします。
この作品展が終わったらすぐに、みんな四国のタオル美術館に移動です。
同じように私がデザインした数々のものも、いつか私の手を離れて一人歩きを始めます。
子育てが終わり巣立ちしてしまうと、「鳥の巣症候群」という状態になる人が今急増しているとか。空っぽの巣を嘆き悲しむ状態…それに似ているかも。

私は風景のなかでも、心象風景にとても興味を持っているの。出会った人の心の中が晴れているか曇っているか、輝いているかどんよりしているか…そんなことをぼんやりと感じています。
日本晴れを装っていて、実は大嵐のまっただ中にいる人もいるし、嵐の中で冷静に扉や窓を点検している人もいます。…私はそれを評価はしません。どんな生き方もその人自身が選んでいるのだと思うだけですが、初日にお越し頂いた老夫婦の方がとても丁寧に私の絵をご覧頂いて、奥様が最後にこんなお話をしてくださいました。
「主人は全く病気知らずでここまできたのに、去年死ぬか生きるかの大病をしました」…と。
とても穏やかで素敵なご夫婦からは、そんな気配は微塵もなくて、私は心底驚いてしまいました。心の中は嵐が吹き荒れているかもしれないのに、優しい穏やかな風を、私はそのご夫婦から受け取りました。
私はまだまだだなあ…すぐに揺れてしまう…そんなことを思いました。

実は今回の舞台のスペシャルゲストのひとり、天田美佐子さんに今回私が初めて作詞作曲までした歌を歌っていただきます。「見つめる木」という、緑化フェアーのために最初に書いたテーマに基づいた歌です。
私の最終決断が遅くて、やっとピアノの伴奏ができたばかり。今度のリハーサルで仕上がりの歌を初めて聴きます。天田さんの歌声の力には、彼女の個性的な表現力も大きいとずっと思っていました。
…それが、絵になるのです!ご本人には内緒で、私は今回天田さんを沢山沢山描いてしまいました。つい筆が走ってしまうのです。
…それに、な、なんと天田さんの歌の伴奏にKyoji先生も加わってくださることが急遽決まりました。どーなるんだろう………。リハーサル泣かないで聴けるかな…一応へっぽこだけど
プロデューサーなので、冷静に冷静にならなくては…と、今から緊張しています。

ブログを書いていたら、たった今ギャラリーに詰めていたスタッフから連絡が入りました。高崎は雨にも関わらず、とても沢山の方たちがご来場頂いたとのこと。
なんかどんよりしていた空気が一気に払拭されていく感じです。
私って単純(笑)

明日は久しぶりに高崎シティーギャラリーでサイン会を開きます。きっと明日はお天気になる予感がしています。皆様にお会いできる日をずっと楽しみにしていましたから。
ご来場を心からお待ち申し上げます。
さあ、これから台本の最終チェックをします!!
明日はぜひぜひ、お出かけくださいね。時間は3時から4時半の予定です。

2008.04.26 Saturday

舞台衣装を作る

大きなりんごは、高崎市のシティギャラリーの備品として、倉庫に置いてあったものです。私はそれをめざとく見つけて、オレンジ色の大きな水玉のシートを貼ってしまいました。疑似ドアにも同じ水玉。私のオリジナルのボーダー柄と合わせたら、可愛い空間が出来ました。
前にも書いたけれど、デザイナーの仕事って、目の前に並んだ素材をどう料理するかが腕の見せ所。

私は今夜は舞台で着る私の衣装を作っています。今回の舞台の衣装は、それぞれに私がデザインしたりコーディネートをしたりして、より強く舞台ならではの非日常をお見せしたいと思っていました。
…けれど、大きな作品展と舞台の両方を同時に開催するのは、本当に大変でした。…で、やっと今頃になって、自分の衣装に手を付け始めたところ。間に合うかしら??
ついさっき、やっと帽子がふたつ完成して、アクセサリーも出来上がったところ。
出演者全員が「お色直し」を三回ずつするので、私は最後の帽子をどうするか考え中。

帽子は私の必需品で、幼稚園の頃から手放したことがありません。何度か帽子のデザインも手がけたけれど、実用的な側面を優先するのでカジュアルなものばかり。
だから、このときとばかり、今回はすごく遊びました。
衣装もいつの間にかエスカレート気味です。
…こうなったらメイクも…なんて、生まれて初めて付け爪なんか買ってしまいました(笑)

リハーサルの日が近づいています。ちゃんと読めるかしら?ドキドキです。

そういえば、今日は衣装に使う生地を買いに新宿のオカダヤまで駆け足で行きました。外出は本当に久しぶりです。新宿の雑踏を歩いていたら、ふと、学生時代のことを思い出しました。
私は無類の方向音痴。紀伊国屋書店に行くのに、見知らぬ人、5人くらいに道を聞いてやっとの思いでたどり着いたときは閉店。
人には得意分野と不得意分野があるけれど、私は仕事以外はほとんど不得意だと、主人に良くいわれます。
反論してしまえば、料理も洋裁も仕事の範疇なので、それ以上は望まないで!…と叫びたい心境です。

…そして、もう一言言い訳をしてしまえば、私は自分が不完全だから、仕事ができるのだと思っています。もしも何かを極めたら、こんなに夢中で仕事はできません。

…にしても、かなりへんてこな帽子作りです。舞台だからこそ表現できるもの。
それが楽しくて仕方がありません。…でも、すご〜く可愛く出来て大満足。はやくリハーサルで、かぶってみたい!!


2008.04.25 Friday

いよいよ開幕

いよいよ本日から作品展の幕が開きました!あいにくの雨降りにも関わらず、沢山の方に足をお運び頂きました。心より御礼申し上げます。

展示は、思ったよりもずっとスムーズに運んで良かった!4ブースありますが、それぞれテーマごとに分けて、表現も変えています。
写真は第五展示室。天田美佐子さんの歌う姿を筆で描きました。ここの展示は今回の舞台の出演者の肖像画やコンセプトなどを盛り込んで、ちょっとシックにまとめてあります。
今回の作品はすべてこの日のために新しく描いたものばかり。

…けれど、すべての展示を終えて、私が思ったこと。「もっと描きたい!」…ただそれだけです(笑)私はずっと怠けていて、ここ数年タブローに向き合う時間を作らなかったことを深く反省しています。
結果的には、相当心の奥にしまってあったものがあったらしく、ものすごい勢いで描きましたが、無理をしてしまったせいか途中で背中を痛めました。…で、予定の枚数のすべてが描き上げられなかったことがちょっと心残りです。
今もアトリエに、下書きだけで残された絵が沢山ありますが、この作品展が終わったら今治のタオル美術館のリニューアルへと続きます。
そのときまでにはすべての絵を完成させたいと思っています。

何故か私は今夜も筆を持っています。この日くらいはのんびりしたら?といわれることはわかっているけれど、私の背中を黙って押してくれる人がいるような気がしているからです。
昨日は群馬で泊まりましたが、明け方美しいうぐいすの声が聞こえて、私は思わず外に飛び出して、しばらくそのうぐいすの声に耳を傾けました。そのまま近所を散歩して帰ると、庭のパンジーに呼び止められたの。

…まだ油彩を習いはじめの頃、私は8号くらいのカンバスいっぱいにパンジーを描きました。もちろん思うようには描けなかったけれど、一生懸命に描きました。そのときの絵がそのままそこにあるように元気に咲いたパンジーが、すぐ目の前に咲き続けていました。

まだまだ未熟なものばかりが目立つかもしれません。…けれど、私は一点一点、ただひたすら一生懸命に描きました。その絵があなたの目に映るとき、私の想いが伝わればと
そんな願いを込めて、私は今パンジーを描いています。
2008.04.20 Sunday

Kへ

5年間私と一緒に仕事をした元スタッフのKから、どうしても作品展に行けないと泣きのメールが来た。
彼女は育児の真っ最中。一番大変な時期にさしかかろうとしている。私も育児と仕事の両立には、ものすごく悩んだし、どんな山坂を今登ったり、下ったりしているかは容易に想像がつく。

…けれど、私は今回の作品展のテーマの一つにした「私の心の中に住む沢山のピエロたち」のイメージを彼女から受け取ったの。

会社を辞めても、あれこれと細かい気遣いをしてくれるKだからこそ、育児で行けないというメールを、どんな気持ちで打ったのかと思うと、ちょっと切ない。
その彼女のポートレートを作品展よりも一足先に公開します!
「大丈夫、Kも一緒に作品展をやっているよ」というメッセージを込めて。

いよいよ、搬入まで秒読みです。私はまだジタバタしています(笑)
以前銀座で作品展をやったとき、当日までどうしようもなく忙しくて、ボロボロのまま会場にいきました。
後日ファンの人に「俣野さんはあんなに疲れていてはいけません」という温かいお手紙をいただきました。

私はその言葉をいつも思い出します。…そして、どんなに追われていてもちゃんとクリームくらい塗ろう…とか、考えるようになりました(笑)…でも確かあの頃は息子がまだ3才だった。
私は仕事が忙しくて、息子と一緒にいる時間が少ないのが心に痛かった。…そしてだからこそ、無我夢中で頑張ったりもしていました。

けれどそれも、今となればみんな良い思い出に変化しています。

Kへ。
がんばり屋のあなたのことだから、泣き言一ついわないで一生懸命やっていると思います。遠く離れていても、それくらいはわかるよ。
またゆっくり会おうね。私も会期中は忙しいから、遠方から来てもらっても逆に心残りになるから。私の仕事がオフのときに遊びにおいで!
私はその日を楽しみにしています。

そうそう、今回は私が編集したDVDも発売します!それが出来上がったら送るからね!
楽しみに待っていてください。

2008.04.17 Thursday

激しく生きるということ

やっと描き上げられそうな自画像は、友だちの期待通り「10才若く、10キロ細く」仕上げつつあります。(笑)
結局自画像を描くということは、自分をみつめる…ということだと思いました。

…私は今、とても幸せです。…けれど、私の人生にはまだやり残したことばかり。この世に生を受けて、好きなこと、興味のあることしか見ないで生きてこられたことに、ただ感謝する日々ですが、夢は現実に姿を変えると、別の顔を現します。
好きなことだからこそ、歯止めがきかない…ただただ一目散に自分だけを信じて走ってきたけれど…誰もが思うように、本当にこれでいいの?どこかで何かを間違ってしまったのでは?…と、思うこともあります。

人生の終着点が「死ぬこと」だとしたら、笑って死にたいな。

以前私は若林一美さんの著書「おだやかに死ぬということ」という本の装丁を手がけたことがありました。本当に素晴らしい本で、その内容に深く深く感動して、特に最後の章の挿話は、何度読み返しても大泣きになりました。

本を閉じて、静かに心の中を見つめると、結局、おだやかに死ぬということは、「激しく生きる」という一言に尽きると、そのときも思いました。
私は激しく生きているのかしら?その問いかけは今も私の中に続いています。自分の持っている力を全部出し切って死ねたら…もしかしたらそれこそが「激しく生きる」ってことかもしれない…そんなことを思います。

人はそれぞれに自分の人生を自分で選んでいます。まさか後悔する人生を甘んじて受け止めることを選択している人はいないと思うけれど、後悔のない人生なんてあり得ないと思っている人はきっと多いでしょう。
私はやはり、それでも後悔のない人生を生きたいと思います。

もしも私が10才若かったら…とか、10キロやせたら…と思うなら、その通りにすればいいのだと思います。
10年という歳月は決して短くはないけれど、振り返ってみればあっという間。その10年間で何が出来たかを考えるとき、ただ無意味に過ごした時期もきっとあったはず。

私は15年ほど前から「絵と音楽と言葉」のコラボレーションを目指して、私なりの表現を模索してきました。
…けれど、そう思いながらも活動していくことには結びつかなかったかも。8年前に作った舞台も、たまたま別の場所に誘われて再演したけれど、自分から積極的に行動したかといわれれば、それはなかったと答えるでしょう。

今回の舞台も高崎市が全面的にバックアップしてくださっています。…そしてその舞台の伏線には「絵と音楽と言葉」の物語を重ねてみました。…そうしてみると、自分がくっきりと見えてきました。

もちろん雑貨やウェアーのものつくりも大好きで、そこから離れたいと思うことはないけれど、もっともっと楽しい暮らしの提案をしていきたいという気持ちから逃れられなくなっています。
絵はデザインでもあり、言葉は歌であり、音楽は心の栄養…このみっつのものに支えられて来た私の人生を振り返るたびに、もっと幸せや喜びを伝える表現を目指したい!と思うのです。その覚悟が「絵から生まれる物語」の骨子となっています。

意外と思われるかもしれないけれど…いつか私は映画を録りたいという夢を持っています。…きっと叶えます。
けれどその夢を叶えるのに時間が必要ならば、私は本来自分が持っている寿命よりも10年長く生かして欲しいと祈ってしまいます。
10才若く戻してもらうことは不可能でも、10年余分に時間があれば、叶えられるかも…なんて、馬鹿なことを真剣に考えている私。
作品展の油彩に没頭していたら、見事に数キロのダイエットにも成功しました!

今描いている自画像は10年前の私ではありません。10年後の私です。
10年あれば、たいていのことはできるような気がします。アンチエイジングのための化粧品も沢山開発されているし、毎日の食事に気をつけて生き生きと暮らしたいと思います。
今は追い込みで寝不足でちょっと疲れ気味だけれど、たった今からでも、10年後の理想の自分を作る努力を始めようと思いました。10年頑張ってみればきっと結果は出るでしょう。

…なんだか長いブログになってしまいました。…長々と読んでくださってありがとう!

2008.04.16 Wednesday

自画像

今回の作品展では、色々な人を沢山描きました。…でも一番難しいのは自画像。実はね。私はかなり最初のうちに自画像を描き始めたの。
…どんどん他の絵が描き上がるのに、何故か自画像だけは、描き上がってもまた消して…何度も描いてはつぶしの、繰り返し。みんな途中で放り投げてしまいます(笑)
そうしていたら、絵描きがどうして自画像を描くのかが、ちょっとわかった気になりました。難しいの…。
自分の顔って、鏡を覗き込んでも、普段の表情はわからない。おしゃべりしていたり笑ったりしている顔は、どんなに鏡を覗き込んでも現れません。
私が誰かの顔を描くときは、その表情を描きたいと思っています。似ているとか似ていないとか…というよりも、その人らしさを描きたいと思います。

ふと、自分が普段どんな表情をしているかを知っているのは、役者さんや、テレビにしょっちゅう出ているニュースキャスターやお笑いの人かも…なんて思いました。
私は写真もビデオも自分が登場しているのは好きじゃないの。
今時の人たちは携帯でもどんどん写真を撮ったりして、気楽に撮ったり、撮られたりするけど、私は苦手意識が強いので…どうも不自然のような気がします。

写真そっくりには描けても、それは描いたことにはならないと思うのです。…その人の内側みたいなもの…が描けなければ…と散々迷って、また今日も自画像の前で立ち往生しています。会期までに仕上がるかなあ…。

夕べは久しぶりにヒロ君に会いました(平野浩由さん)です。いきなり我が家の電気ピアノで、今度の会に弾く曲の演奏が始まったときは、息が止まりそうでした。そのヒロ君が私の描きかけの自画像を見て「…これは温子さんじゃない。何かが違う」といいました(笑)

実は最初の頃に描いた自画像…これはかなりそっくりに描いて、来る人来る人みんな、一目で大騒ぎ。…でもある日30年以上の付き合いの友人がやってきて「絵が描けるっていいね。とりあえず、10歳位は若く描いて、10キロくらいは痩せさせたりして…」とまあ、冗談をいったのです。彼女にしてみればほんの軽口。
…それは充分わかっているんだけど、急に不安になった。…そして、次の日には、違う色の絵の具で塗りつぶしてしまいました。もう、自画像はやめようと決心したのはそのとき。

…あれから3ヶ月…私は今、再度自画像に挑戦しています。

たった3ヶ月の間に、私には色々なことがありました。絵の面白さも、難しさも、楽しさも怖さも勉強したと思います。
今日の私は、昨日の私とはもう違うのです。
私の筆は、いつもそんなことを黙って教えてくれます。



2008.04.15 Tuesday

カラスと月

今回の作品展では、私はカラスと月を沢山描きました。どーしてそうなっていったのかは、自分ではわからないけれど、前世がカラスでは…と思うほど、昔から私はカラスが大好きなの。
月は、もう完全に親友の域に達しています。圧倒的に太陽よりは心を打ち解けあえるの。

ようやく、作品展の全体がはっきりとしてきました。私は何かがはじけたような気になっています。「カラスと月」なんていうと、難しそうか暗そうなイメージを持つかもしれないけれど、実はものすごく楽しんでいただける内容となっております。
いよいよ準備期間は残り一週間。今回の写真の絵が、どうなっていくのか知りたい方はぜひ、お誘い合わせの上、ご来場くださいませ。

…そういえば、ミクシーの私の管理人をやってくださっているKOROさん。色々と応援ありがとう!ブログのこと書いてくださった記事を読みました。
…そうかなあ。ここまで書いていいの!ってあったけど、まだ何も書いていないような気になっています。
もっともっと、色々なことを伝えたいと思います。どうぞ楽しみにしていてください。

さて、朝陽もすっかり空に昇ったことだし、今日はそろそろ寝ます。おやすみなさい!

2008.04.12 Saturday

舞台の小道具

 ずいぶん前に骨董品屋さんで見つけた…たぶん譜面台だと思うけれど、レストランの入り口とかに置くメニュー台かもしれません。
…そういう、わけのわからないものが好き。世の中にはかなり逆行している(笑)機能性も使い勝手もいいものは、確かにいいと思うけれど、だんだん趣味性のようなものは失われつつあるような気もします。

趣味はわりと一貫しています。だから衝動買いをしても、ほとんど後悔はありません。私は買い物のうまさには、ちょっとばかり自信があるの。あまり高価なものには興味はない方。
どちらかというと、古いものが好きです。
だから良く近所の古道具屋さんに足を運びます。アンティークショップとかではなく、古道具屋さん。昔の椅子やちゃぶ台を工夫して、新しい家具に再生したりするのも大好き。
今回の舞台の小道具を色々と考えていました。
ステージで使う椅子は、少し高めのカウンター用の椅子。本当は立体物などを考えていたんだけれど、先日実際の舞台を見たら、ちょっと狭い。
ピアノと人が立って、プロジェクターの映像も使うので、今回は無理だと判断しました。
実は今日、やっと舞台の構成が見えたとこ。ちょっとだけホッとしています。まだまだ、細かい詰めはあるにしても、全体のまとめはとても重要。
「絵から生まれる物語」というタイトルは、もうずいぶん前に決めてしまいました。
…けれど、動き出してみないと、どんな風景が広がってくるかはわからないもの。
今回もずいぶん、予想外の展開になりました。

デザイナーとクリエーターの違いには、持論があります。デザイナーは目の前にある素材を使って、料理するようなもの。クリエーターはその素材から作るもの。
私はどちらかというと、デザイナー的発想に向いています。
クリエイトはむずかしい。どちらかというと、女性よりも男性の方が向いているかも。料理の素材には、結構こだわるけれど、じゃあ、無農薬の野菜を自分で作ってしまおうなんて思わない。それは、専門家に任せた方がいい。

画材もあまりこだわりません。ちょっとその辺で売っているものを使ってしまいます。
…それも惜しみなく使えるものを。

今回の舞台では、とびきりの素材が揃っていると自負しています。これは完全にクリエーターの仕事をしました。まずは素材から…。私一人ではとても出来なかったけれど、みんなそれぞれに個性的なクリエーターが揃ったので、私は大満足です!
どれもこれも丁寧に仕上がっています。
…そして、今度はデザイナーの私に立ち戻り、構成に四苦八苦しました(笑)
…よく考えてみるとプロデューサーの仕事って、デザイナーの仕事に良く似ています。ああ、だから、なんとかやってこれたのかも…。…なんて、自分で自分を納得させています。

…それに、出演者がみんなすごい個性を放っています。だから、あまり余分なことは必要ないかも。生のライブで映像を使うかどうかは散々悩んだところです。最終的には臨機応変に…というところで落ち着きました。

…さて、まだ作品展の準備が途中です。まあ、どんなに焦ってもひとつひとつを丁寧に仕上げていかないとバランスが悪いものになってしまいます。焦らず慌てずに仕上げに掛かります。


2008.04.12 Saturday

舞台を作るということ

…ふと、思います。私はなにをやっているんだろう…って。何故かまた舞台のプロデュースをしています。

物心がついた頃から、舞台好きな母の影響で、舞台を散々観てきました。バレエを習っていて、高校時代はダンス部で創作舞踊に明け暮れて、踊ることと振り付けしか興味がなかった時代があります。
…それが足の故障で、ドクターストップがかかり、断念しなければならないと知ったとき私はすべての夢や希望が閉ざされてしまったと思ったくらい、強い挫折感を持ちました。何よりも堪えたのは、もう二度と舞台にあがれない…と思ったことかも。

舞台には魔物が棲んでいる…といわれるけれど、本当にそうです。あれから一体何年が過ぎたのでしょう。いつの間にか私はまた、舞台と関わっています。元々人前が苦手で、外で遊ぶよりも家の中で遊ぶ方が好きだったけれど、舞台だけは別の世界へ連れて行ってくれる魔法の扉を持っていました。たぶん子供の頃の私の一番の遊び場だったと思います。

…結局人は故郷に戻っていくのかも。…そんなことを思います。絵を描くとき私は必ず踊っていた頃の私が目の前に現れます。構図を考えていると、毎日鏡の前で新しい振り付けを考えていたころの私が脳裏をよぎります。

私は今、高崎のコアホールの舞台用の台本を書き始めたところ。楽じゃないけどその時間が、とても好きです。頭の中には照明が消えたり付いたりします。衣装の着替えのタイミングや全体の流れをシュミレーションしている時間は、あんなにもなりたかった振り付け師になっている…と思うのです。

思い出せば舞台を散々観てきた私は戯曲(台本)が大好きでした。登場人物が出たり入ったりするのを、頭の中でイメージしながら読み進んでいくのです。そのときはただ夢中で、好きなことに没頭していただけだけど、今思えば、すごく変わった子供だったかも。

人生にはひとつも無駄なことはありません。例え挫折してもいいのです。最近特にそんなことを思います。…どんな経験も必要だったと思える日がきっと来るから…。

私にとって舞台を作るということは、あきらめていた夢に向かって走るようなこと。…というか、私は何もあきらめなかった…と、再確認するような出来事です。夢はきっと私の中でちゃんと生き続けていたのです。

私の作る舞台は、もしかしたらかなりマニアックなものかもしれません。「絵」と「言葉」と「音楽」で構成していくのですが、いわゆるコンサートという類の舞台ではなくどこかにお芝居を観ているような要素が入り交じっていくのです。

子供の頃、母と舞台を観るたびに、かなり辛辣な批評をするのを聞いて育ちました。母は若い頃から数えきれないほどの舞台を観てきて、ほとんどの舞台の筋書きを熟知していました。
…そして、数ある舞台の中でも名演といわれるものをすでに何度も観てきていたのです。
「あそこはこうじゃなきゃだめ…」「あの台詞のタイミングは違う」「見せ場の時間が短すぎる」等々。…そして、必ずずっと前に観た歴史に残っているような名演の舞台の話がはじまるのです。

私の人生はこの母の影響がとても大きいのです。私が今ものつくりに関わっていることも、子供の頃からずっと道がつながっていたと思うのです。夢二や中原淳一の本は、バックナンバーがすべて揃っていましたから。

…私は家の中で、母が集めていた本を読み、母の好きな歌舞伎や新派やミュージカルなどを定期的に観てきました。
私は今になって、その経験がどんなに価値があったものかを知り始めています。
今回の舞台作りも、私は深い記憶の中からきっと何かを取り出して、それを形にするためにただ夢中で走るだけです。

2008.04.10 Thursday

俣野温子という人

みんなのことを書いたので、少し自分のことも書かなくては…と思っています。

私は私のことはあまり良く知りません。ものすごくおせっかいという人もいるし、生真面目という人もいます。振り返れば私の人生は、本当に仕事ばかり。寝ても覚めても、明けても暮れても仕事ばかりだったような気がします。

…そんな私が一番好きだった時代は「専業主婦」だったとき…といったらみんな笑うでしょうか?
私は結婚してすぐに、約2年ほど専業主婦だった時代があります。主人を仕事に送り出すと、家事を手っ取り早くすませて、縫い物や編み物や、絵を描き、言葉を書き、本を読み、家中のものは全部手作りにして、週に一度は部屋の模様替え。
夕食は2人で食べたことなどほとんどなく、毎日のように5、6人が集まってわいわいがやがやと遅くまで賑わっていました。

家はとても狭いアパートで、あまり日当りの良くない小さな庭が付いていました。そこには小さな柿の木が植えてあって、春の新芽は、摘んで天ぷらに。
近所の空き地に咲いた大根草をテーブルにいけて、カーテンは季節ごとに自分で縫って掛けかえていました。

壁の絵も週替わりで、額はいつも同じもの。洋服も全部自分で作って、もちろん雑貨も小物も全部。食べる人が多いので贅沢ではなかったけれど、手間だけは惜しみなくかけて、毎日料理の腕をあげていきました。

そんなある日のこと、私は新聞の折り込み広告に「アトリエ付き」という家を発見しました。…それはそれはとても素敵な家で、もちろん一生かかっても決して手に入れることはできないと思いながらも、その家の間取りを切り取って、一番大切にしていた手帳に貼付けて、何度もながめていました。

人生は不思議なもの。…そのころ私が作っていた洋服やバッグを持ちあるいていたら、何故か見知らぬ人に声をかけられるようになりました。…そしていつの間にかどんどんオーダーが入ってくるのです。
あまりにも忙しくなって、狭い家の中がもっともっと狭くなってしまったとき、私にはすでに、小さなお店を出す決心が付いていました。
…そのお店用に作った小物や大物(笑)は、200点ほど。けれど、オープンと同時にすべて売れてしまいました。
…それから、私は仕入れを覚え、店の経営の面白さや大変さを学んだの。

…けれどどんなに忙しくても、私は寝る間を惜しんで絵を描き、言葉を書きました。それを仕事に…といわれたときは「好きなことは仕事にしません」ときっぱり。
独身時代にイラストの仕事をやってみて、描きたくないものを描かなければならない現場のつらさが身にしみていたのです。

…けれどそんな私を助けてくれたのは、やはり「絵」と「言葉」でした。…そしてそれから10年後には、私はアトリエ付きの家を建てました。ずっとずっと憧れていた家です。

…夢は必ず叶います!私はいつもそう思っています。

「いつかギャラリーで個展を開きたい!」そう思って夢中で描いてきた絵は、今月の24日から高崎のシティギャラリーに飾られます。120坪の広々としたスペースです。
今回の作品展のために、すべての絵を新しく描きました。
たぶん私の人生始まって以来…ともいえるほど描きました。ご高覧いただけたら、私は本当に幸せです。会場でぜひお会いしたいと思います。心よりお持ち申し上げます。
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