2010.01.16 Saturday
希望へ
昔、小さな船に乗って
私たちは広い海に出た。
その海にぽかりと浮かんだ不思議な島に
たどり着いたとき
私はまだ幸せの意味を知らなかったけれど
嵐が来て
大きな地震にも…何度か出会い
そんなとき
私たちは無言で、何もなかった頃を思った。
一艘の小舟があれば、どこまででも行けると
信じていた頃を思った。
そして、たどり着いた場所が
私たちにどんなに幸せをもたらしたかに
やっと気づきもした。
その記憶が今鮮やかに蘇ってくる。
私はもう、たとえ船がなかったとしても
広い海を泳ぐことができるような気がする。
そう…私たちはあのとき、魚になったのだ。
きっと…たどり着いたのではなく
一生懸命泳ぎ切っただけ。
希望へ…。
ただ希望に向かって泳ぐ
あの魚たちから多くを学び
何故泳いでいるのか
考える暇もないほど…。
…それがいい。
人生を手玉に取ろうとして、計算に費やす時間があるなら
ただ無心に泳いでいるだけ。
たぶん…そのほうがいい。
今日出来るだけのことを…今日のうちに…。
それが予定よりも遅れていたとしても
海はとてつもなく広いのだ。
遠回りさ…と誰かが言ったかもしれない。
人生には近道もないかわりに
遠回りもないと…どこかで私は思っている。
取りあえず泳いで行こう。
私たちは今一緒に、希望に向かっている。
それは理想的な航海だと思う。
魚になって、ただ泳ぐこと。
それ以外のことを
今の私は…もう何も思いつかない。
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