2011.09.08 Thursday
萩原朔太郎 竹
私の大好きな「詩」です。
竹 「月に吠えるより」
光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。
かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。
そしてもう1編…
竹
ますぐなるもの地面に生え、
するどき青きもの地面に生え、
凍れる冬をつらぬきて、
そのみどり葉光る朝の空路に、
なみだたれ、
なみだをたれ、
いまはや懺悔《ざんげ》をはれる肩の上より、
けぶれる竹の根はひろごり、
するどき青きもの地面に生え。
昨夜…何かが心の中からにょきっと芽を出す音が聞こえました。
その瞬間に、私は何故か、朔太郎のこのふたつの詩を思い出していました。
頑張ろう!
2011.03.01 Tuesday
私にできること…
絵を描くときに私は
どこにも見えないものを描きたいと思います。
それは一体どこにあるのでしょう…。
私はそれを探しています。
いつも…いつも…
地球上では、確実に何か大きな変化が起こっています。
鳥インフルエンザとか、口蹄疫とか…
地震や噴火…
…それは全部見えています。
それが見えても、私にはなす術がありません。
ある人は救援活動に参加するでしょう。
ある人は眠らず祈っているかもしれません。
だから私は私にできることを考えます。
できることはあるのでしょうか…。
私にできることは絵を描くこと
言葉を綴ること…。
私は書きます。
あなたがぐっすりと眠れる言葉を探して…
私は描きます。
あなたが心の底から楽しめる絵を描きたいと…
それしか私にはできません。
それを一生懸命にやっています。
今この瞬間も、変化は起こっているかもしれないけれど…。
私は変わらず、毎日絵を描きます。
私は言葉を書きます。
それから大きなため息をついて…
今日もこれしかできなかった…と思います。
これが私の精一杯だった…と思います。
2010.10.28 Thursday
夜明けに…
思い出せないほど遠くに
その日々がある…
豊かだったか
貧しかったかと問われれば
豊かだったと…答える。
あのころはお金がなくても生きていけた。
持っていたかと聞かれたら
確かに…あり余るほどの夢がそこに…。
確かめたかと聞かれたら
興味はなかったと答える。
間違ったら引き返せばいい…
その道がたとえどこに続いていたとしても…。
まるで正反対のような時代がやってきて
いつの間にか
ど真ん中であぐらをかいている。
こんなはずじゃなかった…
…それだけは決して使いたくない言葉だと思う。
そういう時代を作ってしまった。
いつもそう言い続けていたい…。
必ず変えてみせる…
それを同時に信じていたい。
あの日々に戻りたいかと聞かれたら
ノー!と答える。
この先に何があるのか…
それを見たいと思う…。
たとえどんな時代が来てもいい。
そのなかで私はまた考えるだろう…。
たぶん今夜と同じことを…。
やっぱり明日が待ち遠しい…。
いつもそうだった…
たぶん…これからもずっと…
2010.06.05 Saturday
タンポポの綿毛
二十歳くらいの時に書いた詩。
全部を覚えている訳じゃない。
けれど…ふと心に蘇っています。
タンポポの綿毛
たどり着いてはいけないのよ。
たどり着いてなぐさめられて
そこしかないと思い込んではいけない。
…そこで芽を出したら
ただ精一杯に咲いてみようか…
あるときは
岩の上に落ちて
雨のせい
風のせいにして
芽を出せなかったと嘆くのではなく
どんな場所でも生き生きと咲く…
そして
殺風景な風景のなかで
そこだけ灯が点る場所に
きっとあなたはできるはず…
きっと私もできるはず…
タンポポの綿毛
ただフワフワと浮かんでいる…
だれにも気づかれない場所に根付いてもいい…
そこから何かがはじまると思えば…
…そう…きっとはじまる
2010.03.25 Thursday
泣き顔
曖昧な記憶
輪郭はぼやけている
思い出は印象だけになり
伏し目がちだったあなたの顔の細部は
もう描くことは出来ない
幸せだろうか…
音信が途絶えて…久しい
風は私の背中から吹いている
振り向くよりも
前に進めと…
そこに全く迷いはないのに
何故か私には
あなたが泣いて
私を呼んでいるように思えてならない
心が見ているあなたの記憶は
昔のものだろうか
それとも今のものだろうか…
私はあなたを描く
それは私自身なのかもしれない
涙もろい人に限って
自分のためには泣かないものだね
昔私はあなたに向かって…そういった
あなたはハッとしたように私を見て
ポロポロと泣いた
その顔を今日…ふと…鮮明に思い出した
笑い声は覚えているのに
あなたの笑顔はどうしても思い出せない…
1度だけ電話があった
あなたはひとしきり声を上げて泣いて
ありがとう…とだけ言って切れた
何があったかは知らない
ただ…受話器を置いた後
やっと自分のために泣けるようになったんだ
…そう思った
2010.02.26 Friday
笑顔について
私が笑うと
あなたも笑う
だから私は一生懸命に笑う
たとえば
笑いたくないときも
心の中に
つめたい風が吹き込んでいるときも…
…笑ってばかりはいられないときだとしても…
心配はいらない
気をつかわなくていい
安心していいよ
…と一生懸命に笑っている
テレビのなかにも
私に似てる人がいる
画面に向かい
切ないほど
頑張っている人たちで
あふれている
それほどまでに
人は笑顔を尊ぶもの
だから私も一生懸命に笑う
それを見る人がたとえ
「気楽なもんだね」と言ったとしても
「何の苦労もしたことがない」と言ったとしても
「好きなように生きてるんだ」と言ったとしても
「そんな風にはなれない」と言ったとしても
私はものすごく努力をして
「幸せだよ」と笑っている
2010.01.13 Wednesday
泣かない
目が覚めてしまいました。
夢を見たのです。
小さな私が雪の中をひとりで歩いている夢。
そんなとき
私は泣かない。
「お前は強いね」
母は私をそう言いながら育てた。
「うん!」
私は素直にそううなづいて
何かことが起こったとき
冷静に分析する術を覚えた。
けれどいきなり
人の弱さが見えるときがある。
そんなとき
私は不意に、涙をこぼす。
それは泣くのではなく
むしろ怒りに似ている。
知らず知らずに失ってしまった私の弱さは
そんなふうに
目の前に突きつけられる。
泣かないと決めてしまうと
その禁を破るために
私はたびたび、人の弱さに出会う。
…けれどそれは
私を弱くするために起こるのではなく
いつも、もっと強くなるために
もっと優しくなるために
目の前に繰り広げられている
壮大なドラマだと
思うことがある。
2009.12.31 Thursday
2009年12月31日 心からの感謝を込めて
私はただ…歩きました
今日歩けるだけの道のりを…
それは決して長過ぎもしなかったし
短すぎもしなかった…と思うのです
立ち止まるときもあり
足早になったり
走るときもありましたが
自分の歩幅で
地に足をつけて
ただ…歩いていました
それを遅いと感じる人も
それを速いと感じる人もいたでしょうが
それはそれとして
私はただ…歩きました
「一体どこに向かっているの?」
…だれもそんなことを聞きませんでしたが(笑)
聞かれたとしても私はこう答えるだけだったでしょう
「明日のことはわからないよ」と…
けれど
心の中を真っ白にして
ただ歩いていると
見えてくるものがありました
聞こえてくるものもありました
私はそれを描きます
私はその音に耳を傾けます
その時間はいつも豊かで
ただ
やさしかったことだけを覚えています
それだけで充分です
それがあれば迷わない
私はだれ?…と聞かれたら
星屑のひとかけら…と答えます
…それが私の2009年
おかげさまで
とても幸せな1年でした
2009.12.14 Monday
ようやく私は…私になった
私の心は夜空にぽかりと浮かんでいた
もう…ずいぶん長いこと
それは、とんがったり丸くなったり
色々な形に姿を変えた
男になったり女になったり
子供になったり
老人になったりした
出会う人によって
色も薄くなったり濃くなったりした
形も歪んだり
大きくなったり
小さくなったり…
ときにはふたりになったりもした
何が必要で
何が不必要なのか…
刈り込んで形を整えても
私は私ではなくなるばかり
いつの間にか私は
色々な顔を持っていた
そのどれもに嘘はないけれど
本当にこれでいいの?
答えを欲しがっていたとき
…それは
大きな紙袋に隠されていた
私が私であり続けたいと思うときも…
だから私は探すのをやめた
…そうして私は…私になった
最初から
ただそこにあるままに…
形ではなく色でもなく
私というひとりの人間は
最初から
ただそこにいたのに
ずいぶんと遠回りをして…
…ようやく私は…私になった